台湾人ヘルス編

台湾人ヘルス編

僕が十三で呑み潰れようとしていたのは何か特別な理由があったのかもしれない。

 

「そろそろ報われてもいい頃じゃないのか」

 

「でも、信じることしかできないんだよ」

 

隣で大学の友人が呟く。

 

彼はビールを飲み干し、反射的に手の甲で口を吹いた。

 

これまでの人生で、あまり多くの挫折をしてこなかったのだろうか。現実から目を背けて夢を語るのは僕達の悪い癖か。

 

「そろそろ出ようよ。」

 

終電の時間はとっく過ぎていた。

 

「お兄さん、女の子どうですか?」

 

「十三は台湾人がオススメですよ。40分1万4000円で本番できます。言っちゃダメですけどね。」

 

その男は、まるで格好の獲物を見つけた肉食動物のように僕たちに近づいてくる。

 

「抜きたい、温もりを感じたい。」

 

寂しがり屋の彼が言う。

 

「そうだな」

 

僕は作り笑いで微笑む。

 

あまり気分が乗らなかった。それは、次の日の朝に飛田新地に行きたかったからなのかもしれないし、あるいは単に疲れていただけかもしれない。

 

青い看板、階段を降りる。薄暗く東南アジア独特の匂いがする。30歳ぐらいで、乳と尻は垂れていた。良くも悪くもアジア系の人懐っこい顔だ。どうでも良かった。シャワーを浴び、ベットで大の字になった。

 

僕はまぶた閉じた。

 

「オニイサン、ゲンキダネ」

 

僕のペニスは正直者だった。相当な技術の持ち主のようだ。あるいはペニス自身まで酔いが回っていたのかも知れない。彼女は、それなりの事をした後ゴムを付け僕の上にまたがった。

 

「イク、イク、イッタ?イッタ?」

 

カタコトの日本語で彼女は繰り返す。

 

僕は頷く。

 

「ヨカッタネ」

 

僕は頷く。

 

15分程しか経っていない。丁寧にシャワー浴びた後。少し談笑しマッサージが始まった。

 

また僕は瞼を閉じた。

 

「オニイサン、ゲンキダネ」

 

40分の間にあるものは忘れられ、あるものは飛ばされた。そのうち幾つかは熱を帯び、あるとき限界に達し、音を立ててヒューズが飛んだ。

 

 

悪くなかったねーー

 

彼はそう言ってミネラルウォーターを飲み干した。

 

淀川の河川敷、朝日の昇るスピードは思ったよりも速い。川の向こう側、背の高いビル達は近いようで遠い。

 

梅田と十三、光と影。

 

「僕達はこっち側の人間なのかもしれないね」

 

彼は自分に言い聞かせるように言った後、殆ど黙り込むのだった。

 

ps 思い出の店が潰れてました悲しい

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