松井玲奈のカモフラージュを読んでの感想。

最高です。

 私は興奮している。もちろん、性的な意味で。

 

最初のハンドメイドというのしか読んでいない。ネタバレはしないつもりだが、保証はできない。

故小林秀雄氏に捧ぐ

 とてもアイドルらしい小説だった。皮肉ではなく。ここまでアイドルの鉄則を守った作者の生真面目さが見えるようだった。

 主人公は、大企業と思われるオフィスに勤める女性。周りには彼氏とだけ言い、正体をばらさずに、会社の上司と付き合っている。

上司にはベタ惚れの彼女がいるが、主人公とも浮気関係を続けている。スキャンダラスな内容に、私は期待に胸と股間を膨らませた。

 

 しかし、主人公と上司がホテルにいき、いい感じになりつつあるところで、毎回、突然話が飛んでしまう。

幾度とホテルで落ち合うが、必ず、性描写は描かれない。

 

 

 私が、全裸で半勃起しながら「おっ!きたきたっ!」と近づくと、透明なアクリル板にぶつかって、はじかれるように後ろに倒れこんだ。アクリル板の向こうで、松井玲奈が「わたし、アイドルだから・・・。性描写は・・・ちょっと・・・。」

 なんだよくそ。私がつぶやく。半ばあきらめかけたとき、どこからか罵声が聞こえた。

 

「また、あきらめるのか!?」

自分の声のような、違うような、そんな声だった。

「お前は、あの時からまったく成長していないんだな!」

 

あの時・・・?

 

私の海馬から一筋の電子信号が昇り上がり、脳天で弾けた。

そうだ。

 

 

あれは・・・

 

 

初めてセクキャバに行ったとき・・・

 

 

 

 

 

 学生時代に、知り合いのオッサンがセクキャバに連れて行ってくれた。

酔っていたこともあり、羽目を外した私は上機嫌で、息子も徐々にExtra.

酒池肉林の限りを尽くさんとするばかりであった。

 

しかし、その時、見慣れぬ男が言った。「お時間ですが、延長はどうされますか?」

私は、財布をひっくり返すが、実家を出るときに母が持たせてくれた金運小判以上に高価なものは入っていなかった。

速やかに退場を促され、寒風吹きすさぶ寂れた路地に放り出された。

後ろを向くと、閉まりかけのドアの奥にボーイの背中が見える。奥に消えゆく、ひかりちゃんが見える。

待ってくれよ。さっきまで散々ベロベロモミモミしていたじゃないか・・・。待ってくれよ。待ってくれよ。

「えっ、延長で!!!!!!」テラテラ光る口まわりで、空気を噛んだだけだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「お前は、あんときからまったく成長していないんだよ!」

怒声で目を覚ます。

何言ってやがる。あの後俺は成長した。アマガミとキャバクラ通いで男女の附合を学び、官能小説で淫靡な世界を探求した。就職して、経済的余裕もできたし、パートのおばさんともうまくやっている。これで成長していないだと!だったら、お前のほうが少しは成長したらどうなんだよ!!くそっ!やってやる!やってやるよ!やりゃあいいんだろ!

 

 

 

「俺だって協力ぐらいするさ。」そう言うと、息子は勃ち上がった。

 

 

 

 

 

 次の瞬間、自分が何をすべきかは、はっきりしていた。

息子を見る。

普段はニートの愚息も、今では立派なエリートだ。

私は思わず語りかける。

「ダメな親父ですまんな。」

「ふんっ、お互い様さ。」息子が言う。

赤面している息子に、私のあふれる感情は見られまい。

「そろそろ。」

「ああ。」

私は意を決して叫んだ!アクリル板の向こうへ!インクの染みついた紙のむこうへ!

「えっ、延長で!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 崩れ落ちた私のひざ元に、息子の亡骸が転がっている。青白い首筋から死んでいることが分かった。向こう側に、透明な息子の吐瀉物が見える。ろくに栄養も与えず、連日の酷使のためだろう。

 

 

 前々から広すぎると思っていた部屋の真ん中で、耳鳴りだけが響いていた。

 

 

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コメント

  1. 令和の鬼才

  2. おもろい

  3. これはいい才能の使い道

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