ブスの歌を聴け

 ブスは静かなほうが好きです。

明るく社交的である必要なんて感じません。自虐なんてうるさいだけです。あんまりブスであることをひけらかすような真似は、ゲームバラエティーに出演しているキムタクを見ているようなもので、引いてしまいます。

 静かに、大した話もせず、周りに人が集まるわけでもなく、ただ姿勢よく座っていてくれる。そして、ときどき聞こえてくるよそからの話に微笑んでくれる。

高校2年の秋、私の隣の席の女子は、そんなブスでした。

髪は長い友達

 隣の席の人がブスであることに気が付いても、私の生活は変わりませんでした。こちらから話しかけることはできませんが、毎日友人を交えて何かしらの交流はありました。

 そんなある日に、隣の席の人は髪を切ってきました。私は視界の端で、それにいち早く気づいていました。当時はそんな言葉を知りませんでしたが、セミロングで外ハネでした。

どうしてか、私は勇気を振り絞り、1限が終わるとすぐに「髪切った。」と尋ねました。

そのあと、友人に「お前が、そんなことに気が付くなんて。」といじられたことを覚えています。

進展

 その後、何がきっかけだったかは覚えていませんが、私と隣の席の人は、夜に電話をする仲になりました。面と向かっては話すことができませんが、電話であれば気軽に話すことができたのです。

 だいたい、私がラインを始め、ある程度のところで、電話してもいいですか、と尋ねてから始めるのが常でした。私は、学校で話せない分、どうしようもないことを散々話しました。隣の席の人はそれをずっと聞いてくれていました。彼女は彼女で、いつも一緒にいる友人の愚痴をよく言っていたように思います。

話すことがなくなれば、お互い黙ったままで、数分おきに「寝た?」と聞きあうだけでした。

 

ブスの歌を聴け

 隣の席の人と好きな音楽の話をしたことがあります。

私は好きな音楽なんてありはしないので、適当にサザンオールスターズと答えました。隣の席の人は「お父さんが、よく聞いてる。」といい、私におすすめの曲を紹介してくれました。

私はいたずら心に歌ってみてといいました。いやだいやだと言っていましたが、歌ってくれました。

 隣の席の人の声は綺麗でした。綺麗といっても、はきはきとした声ではありません。恥ずかしかったのでしょう。かすみがかったような、いかにもおとなしい女の子の声でした。

そんな声で電話越しに、私に歌を歌ってくれました。

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コメント

  1. ブスかわいいやんけブス・・・メッチャ続き気になるやん

  2. @斧爆弾 
    コメントありがとうございます。
    でも、想像の5倍はブスだと思います。

  3. 読ませる文章、続きが気になる!

  4. これは…キュン…

  5. 青春やなぁ……
    LINEがでてくるあたり意外と若かったのね。

  6. @ミエノチェリー・N・ズンドコベロンチョ 
    ちょうどラインが出回り始めた頃です。最初、普通の通話でしていたら電話代が10万を越えたので、ラインになりました。

  7. ブスでも愛嬌があればおーけーおーけー

  8. つづくの!??

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