好きなマイナー漫画「偶像事変~鳩に悲鳴は聞こえない~」

好きなマイナー漫画「偶像事変~鳩に悲鳴は聞こえない~」

あらすじ

20XX年日本。多数の犠牲者を出した地下鉄連続爆破事件、首相官邸爆破未遂事件――これら一連の事件を起こした13歳の少年、日谷一鷹。彼の死刑を求めて300万人の署名が集まった。
現行法では18歳未満の少年を死刑にすることは出来ないため、代わりに導入されたのが、特別指定犯罪者更正処遇制度――通称SRTP。
これを施行すると、暴力的なものや性的なものに接した際に、猛烈な吐き気に襲われるなどし、犯罪を抑制させる効果があるという。
導入の結果、少年犯罪の再犯率は0%となった。

導入から4年後、トップアイドル柊せらが何者かが仕掛けた爆発物によって、右足を負傷する大事故が起こる。
誰もが日谷一鷹の関与を疑うが――。

概要

ヤングマガジンサード連載。全4巻。

アイドルが世界を変える?

作中でも触れられているが、アイドルが流行するのは世の中が不景気だったり情勢が不安定な時である。
恋人や友人と違い、手軽に夢を見せてくれるし、お金を使わなくてもテレビや雑誌で笑顔を見せてくれるし、飽きたら他のアイドルに乗り換えても文句は言われない。
しかしながら、人気絶頂のアイドルの影響力とは凄まじいもので、例えばアイドルが自殺をすれば後追いで自殺をするなど、とりわけ熱狂的なファンは信じられない行動を取るものだ。
本作は、そうしたアイドルへの熱狂、集団心理の恐ろしさを巧みに描いた良作だ。

SRTP

上述した本作のキーワードであるSRTPであるが、これを施行すると、例えばSRTPを受けた人間が暴行されたとしても、一切の抵抗が出来なくなってしまう。
また本人が望むと望まざるとに関わらず目に入った雑誌のグラビアなどでも猛烈な吐き気に襲われるようになってしまう。
あらゆる方面に配慮した結果、コンビニから成年誌が無くなった昨今、もし現実にSRTPが導入されたら、作中同様SRTPを義務化させようとする運動が起こるのではないだろうか。
作中で描かれている日本はけしてフィクションとは言い切れないリアリティがある。

ハッピーエンド

ネタバレになってしまうので詳細は伏せるが、展開が急ではあるものの、4巻で非常にコンパクトにまとまっている。
未回収の伏線などもなく、恐らく作者が本作で描きたかった事は過不足なく描ききれているのではないかと思う。
ラストについては、ハッピーとは言い切れず、物悲しい終わり方ではあるが、ある人物の願いは間違いなく叶っているので、見方によってはハッピーエンドだと思われる。
誰の主張に納得がいくかで、感想は変わるだろうが、しかし投げっぱなしではないのがとても良かった。
これで良かったのかな…でもこんなの悲しすぎるだろう、というのが私の感想だ。

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