好きな映画のこと③

好きな映画のこと③

ババドック~暗闇の魔物~

ジャケットの下にある可愛らしい魔物に、ダッサイフォントのタイトルにキャッチコピー。
まーーーたいつものヘンテコホラーだろ?
と思っていたけど……

傑 作 で す

冒頭を見る限り、シングルマザーの子育て奮闘記にしか思えなくて「またこういう詐欺映画来たよ」とガッカリしていたものの、いい意味で裏切ってきます。
先ず、子供(男の子)がまあうるさいのなんの。
だいぶオブラートに包みますが、感受性が強すぎるが故に母親をストレスの沼に放り込んでいきます。
本人は悪気ないってのがまた腹が立つ。
彼が拾ってきた禍々しい絵本に出てくる『ババドック』が出てくるの!とヒステリックに訴えてきます。
が、母親は日々、子供に精神的にやられているので、所謂「ネグレクト」から虐待一歩手前までのことをしてしまうのです。
現実にこういうのいたら「まだ子供だから」という他人事な言葉で済まされますが、これはもう母親の気持ちがよーーーくわかるんです。
自分が親でもなくてもひしひしと伝わります。

子供のことを悪く書いてしまっていますが、子供の気持ちもすごーーーくわかります。
本当の訴えを何もかも「子供だから」で片付けられてしまうのは、信頼のかけらもない証拠です。
この世界にたった一人の話を聞いてほしい、甘えたい存在に無視されるのはいかに苦しいことか。
そんな親子間の仲の悪さは段々と悪化していくので、こっちも親子二人共の気持ちになってしまって終始嫌な気分で見てしまいました。

しかし、この嫌な気分を一気に吹き飛ばすのはあの終盤のシーン。
『ババドック』と奮闘する親子二人の姿は、さっきまでイライラしていた感情をガラリと変えてくれます。
ネグレクトしていた母親は、子供にとっての"母"であり、あれだけ母親を悩ませていた子供は、母親にとっての"子"である。
不可解な状況下で描かれる親子の描写は素晴らしいものでした。
涙がぽろりと溢れるくらいに……。

親子という親近感あふれるシチュエーションから見られる"人の心の闇"をしっかりと描ききっています。
それ故に、トラウマを掘り起こしてくる描写ばかりなので、その点はご注意を。
でも、こういった嫌な思い出があればあのラストに心打たれること間違いなしです。

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