
あれはそう……たしか高校2年生の時
ぼくはいつもの時間よりも随分と早く目を覚ました。
二度寝しようとも思ったが、そんなに眠くない。
そこで健全な男子高校生だったぼくは、やがて経験するであろう男女の営みの自主練習をすることにした。
左手にスコッティ、右手にぼくのぼく
自主練習は捗った。
いつもと違う、登校前の早朝というシチュエーションはぼくをいつものそれとはまた違うステージへと誘った。
それはいわゆる"ゾーン"と呼ばれるものだったのかもしれない。
極限の集中。
この世にはもう、ぼくのぼくだけ。
しかし、そんな自主練習にも終わりはやってくる。
ぼくは右手のみに集中していた
集中しすぎていた。
少し――そう、ほんのコンマ何秒か、左手の動きが遅れた。
スコッティという名のガーディアン。
億を越えるぼくの遺伝子を包み込むはずの彼は、その役目を果たすことができなかった。
ぼくの遺伝情報は宙を舞った
ぼくのぼくから生み出されたそれらは、高々と舞い上がった。
そして――
やがて――
美しい放物線の頂点に至り――
落下する――
ぼくの――
カ オ ヘ ト ― ―
ぼくは目を腫らして学校に行った
「その目ェどしたん?」
「いやなんか起きたら腫れとってさ」
言えなかった。
言えるわけがなかった。
ぼくの遺伝子が目に入っただなんて。
その日、ぼくは大切な教訓を得た。
――仰向けで自主練習するのは危険だ――
ちなみに
自主練習は何度も繰り返してきたけど、実戦はまだです。
コメント
感動しました
これからも励んでください
いつも仰向けで練習してますけどそんなことなったことないです!(笑)
@ユージロー
ありがとう。励みます。
@ii
それはゾーンに入れてないですね。
もっと集中しましょう!
頑張れ!貴方ならきっとたどり着ける!
積極的にタンパク質摂取しにいこうや